八ヶ岳 名水の里エリア

JoyFuL No.010

自然から人、人から自然へ循環する暮らし

四井真治さん
プロフィール

北杜市長坂町
四井真治さん(41) 千里さん 
木水土きみとくん(7) そらくん(3)
長野県伊那市より移住

北杜市長坂町へ移住した四井さんは、パーマカルチャーデザイナーとして
ご活躍されています。人と自然が循環できる環境を作り出す四井さんの
暮らしから、本来のエコロジーや豊かさが見えてきます。

 あまり聞きなじみのない『パーマカルチャー』とは、1970 年代にオーストラリアで確立された、人間にとって恒久的持続可能な環境を作り出すためのデザイン体系です。つまりはその土地の持つ風土や文化に沿って、
人を含めた生態系を考え、暮らしを設計すること。
 四井さんがパーマカルチャーの1つの例として見せてくださったのは、キッチンの排水を処理して自然へ戻す仕組み。キッチンで使用された水を『バイオジオフィルター』という水路へ通し、砂利や植物によって浄化し
ます。浄化された水は『ビオトープ』という小さな池を生み出します。水中にはオタマジャクシ、水面には睡蓮が生息し、小さな自然を形成していました。人間が生活の中で出すマイナスを、植物や動物などの特徴を活か
しプラスに変え、結果的に±0の状態で自然に還すことができる。こういった関係を生み出せるところにパーマカルチャーの価値があるように感じます。

本当の豊さを求めて、パーマカルチャーの道へ

 幼少の頃から本当の豊かさってなんだろうと考えていた四井さん。大学卒業後に緑化会社を経て、長野県伊那市へ移住し、有機農業や土壌コンサルタントをされていました。
 転機となったのは、有機肥料会社に入社した時のこと。学生時代に好きで読んでいたビル・モリソン著の『パーマカルチャー』を翻訳した方がこの会社の社長の奥さん、小祝慶子さんでした。「大学の頃からパーマカルチャーに興味があって、少しずつ実践をしていましたが、その知識や経験を買われ、ワークショップに行くようになり、講師業もするようになりました。」と言う四井さんは2005 年には愛・地球博でのガーデンデザイン及び施行指導を担当され、活躍の場を広げていきました。
 次第に東京での仕事も増え、アクセス面を考えた時に伊那市からもう少し東京に近い場所へ移り住もうと思ったことが、移住のきっかけになったそうです。「車で家から諏訪インターまで30 分。その移動時間分だけ諏訪インターから東京方面へ近づこう。」と考えた四井さん。候補地として上がったのは北杜市でした。「東京に近いので、仕事があってもすぐに行けます。それに空気も水もきれいで、野菜や果物も美味しい。もちろん景色も素晴らしいですね。」と2007 年に移住して以来、広い敷地の中でパーマカルチャーを実践しながら、充実した生活をされています。

自然豊かな山梨で実践する
等身大のパーマカルチャー

 移住前は築130 年の古民家に住み、その古民家を改装してパーマカルチャーの暮らしを提案されていましたが、一般的な生活体系と違いすぎて、誤って敷居を高く見られていると感じたそうです。どんな暮らしの中にも取り入れられることをイメージしてもらうには、ほどほどに古い家か新築の家でパーマカルチャーを実践しなくてはいけないと感じた四井さん。現在のお住まいには元々古い母屋がありましたが、さらに新築の家を建てて、等身大の提案をされています。
 敷地の随所に見られるパーマカルチャーの仕組みは風土に合わせて、無理なく実践されているものばかりです。「この土地は地形的に山の尾根になっていて、乾燥しやすいのですが、新たに雨水やお風呂の排水などを利用できる仕組みを組み込もうと思っています。」と住み始めて5 年以上が経つ現在でも、状況に合わせてアイデアを出し実践することにより、生活をさらに豊かなものにしているように感じました。
 暑いところより寒いところが好きという四井さんは、この北杜市の寒さはちょうど良いと言います。「冬はちゃんと雪が降るから白い世界があって、雪解けに芽吹きがあったり。四季を楽しめるのが良いですね。山梨は
自然豊かだから、理想的なパーマカルチャーを取り入れた暮らしが可能だと思いますよ。」と自然に恵まれた北杜市での暮らしを満喫されていました。

(2013 年6 月取材)

まるで森の中にいるように感じる四井さん宅には、パーマカルチャーのアイデアが随所に見られます。

まるで森の中にいるように感じる四井さん宅には、パーマカルチャーのアイデアが随所に見られます。

 

移住して新築で建てた家は、 自然と共存しながらも快適に 暮らせる設計となっています。

移住して新築で建てた家は、 自然と共存しながらも快適に暮らせる設計となっています。

 

段々畑に水をあげる四井さん。乾燥しやすい土の状態を調査しながら、次のアイデアを練ります。

段々畑に水をあげる四井さん。乾燥しやすい土の状態を調査しながら、次のアイデアを練ります。

 

自然豊かな土地は家族団らんの時間を楽しむのにも最適な空間です。

自然豊かな土地は家族団らんの時間を楽しむのにも最適な空間です。

 

堆肥小屋の前にいたのはシバヤギのキューちゃん。

堆肥小屋の前にいたのはシバヤギのキューちゃん。

 

キッチンの排水を『バイオジオフィルター』という水路へ通し、砂利や植物によって浄化します。

キッチンの排水を『バイオジオフィルター』という水路へ通し、砂利や植物によって浄化します。

 

浄化された水は『ビオトープ』という小さな池を生み出し、水中にはオタマジャクシ、水面には睡蓮が生息します。

浄化された水は『ビオトープ』という小さな池を生み出し、水中にはオタマジャクシ、水面には睡蓮が生息します。

 

映画『崖の上のポニョ』でも話題になったポンポン船で遊ぶ木水土くん。

映画『崖の上のポニョ』でも話題になったポンポン船で遊ぶ木水土くん。