大月・都留 東京隣接エリア

JoyFuL No.100

都留で実現する農的暮らしのデザイン

梅崎靖志さん
プロフィール

都留市下谷
梅崎靖志さん(44)
奈津子さん(41) 志音しおんちゃん(3)
東京都板橋区より移住

地域の中に生きるということは、人やコミュニティとつながるということ。いいコミュニケーションを心がけることが農的暮らしの基本です。

 東京都練馬区出身の梅崎さんは、2年前にご家族と一緒に都留市へ移住しました。「長野県で大学時代を過ごし、卒業後はずっと環境教育に関わる仕事をしています。勤務地は、茨城、東京、静岡、新潟で、その後、大学院へ行くために2年間、東京に戻りました。高校を卒業してから7割以上は地方生活です。東京出身といっても地方で暮らす方が快適で、都会生活にはあまり馴染めなかったんですよ。」と梅崎さんは笑います。
 現在は、自然農やパーマカルチャーの考え方を実践し、田畑で様々な作物を育てながら暮らしています。パーマカルチャーとは、「自然とつながる持続可能な農的暮らしの実践法」を体系化したもの。そして、自然農は、草や虫を敵とせず、耕さず、肥料や農薬を使わない農の営みです。
 長野県の『パーマカルチャー安曇野塾』で講師も務める梅崎さんは、都留文科大学の非常勤講師としてコミュニケーションやワークショップの授業を担当したり、農的暮らしの実践に関わるイべントやセミナーを主催しています。そんな多忙な生活の中でも、移住した都留市では、家族と『風と土の自然学校』を営み、パーマカルチャーに基づいた暮らしの提案をされています。「関東はもちろん、関西方面からも『風と土の自然学校』のセミナーにいらっしゃいますよ。」と梅崎さん。たとえば、『自然農と手づくり循環生活 実践コース』という大人向けの年間講座。 自分の手で作物を育てる自然農実習のほか、暮らしに役立つ木工や糸つむぎ、味噌づくりなどの手仕事、自分や家族の健康を自分で守るセルフケアなど、循環する暮らしを実践する際に役立つ具体的な知識や技術を、時には専門家のゲストを招きながら体験を通じて学んでいきます。「講座では、『新しいことを体験したり学んだりしてよかった』というだけでなく、学んだことを実際の暮らしの中で実践して、理想の暮らしに少しでも近づくためのお手伝いをしたいと思っています」。ただ単に畑で野菜を作るだけではなく、自分の暮らし全体を見つめ直し、自然とつながる暮らしの実践を少しずつでいいから楽しみながら始めることが大切だと、梅崎さんは言います。

静かに暮らしたいなら都会のほうがいい

 「よく『田舎で静かに暮らしたい』と言いますけど、静かに暮らしたいなら実は都会の方が良いかもしれないと思います。だって都会なら、皆ほっといてくれますから(笑)。田舎は皆がお互いを気にかけるし、お祭りや地域の草刈りなど、暮らしの中に人とつながる必然性があるんです。地域の人とのおつき合いが煩わしいと思ったらうまくいきません。」と梅崎さん。
 農的暮らしとは、人と人、人と自然がつながる暮らし。自治会に入り、消防団の活動に参加し、時には近所の方から味噌やこんにゃくの作り方を教わることもあるそうです。奥様が実践する自主保育グループ『はねこっこ』は、豊かな自然の中を思うままに歩き、四季の移り変わりを楽しむ共同保育の活動です。大人たちは、子どもの発見や感動に寄り添うことを大切にしています。キラキラ輝くクモの巣に見入ったり、土手をすべり降りたり、体と心をフル回転させながら、豊かな感性が育っています。
 この日、志音ちゃんは、捕まえたカブトムシのために、マイ包丁でキュウリを一生懸命切っていました。自然農で育てる畑は地元の方から借りています。作物の世話をする家族の中に友人の姿も交じり、ここでも志音ちゃんがマイ鎌を使ってトマトを収穫して見せてくれました。「地域の人とコミュニケーションでつながりを広げ、都市と地方をつなぐ場を作っていきたいと考えています。風の人(よそ者)と土の人(地域の人)がつながることで、新しいものが生まれると思うんです。『風と土の自然学校』にはそういう願いを込めました。」と力強く言葉を結ぶ梅崎さんです。

(2013年7月取材)

『風と土の自然学校』の看板は、おつきあいのある造形作家の先生からプレゼントされました。

『風と土の自然学校』の看板は、おつきあいのある造形作家の先生からプレゼントされました。

 

自然農やパーマカルチャー関連の本がずらりと並びます。

自然農やパーマカルチャー関連の本がずらりと並びます。

 

永久持続可能な農的暮らしのレクチャーの一端を聞かせてくれました。

永久持続可能な農的暮らしのレクチャーの一端を聞かせてくれました。

 

奥様主催の自主保育グループ『はねこっこ』では、この日カブトムシを捕まえました。

奥様主催の自主保育グループ『はねこっこ』では、この日カブトムシを捕まえました。

 

ご自宅の古民家。

ご自宅の古民家。

 

志音ちゃんの包丁さばきは、なかなかのもの。

志音ちゃんの包丁さばきは、なかなかのもの。

 

自然農の畑で、作物を丁寧に育てています。

自然農の畑で、作物を丁寧に育てています。

 

志音ちゃん、トマトを収穫。

志音ちゃん、トマトを収穫。