八ヶ岳 名水の里エリア

JoyFuL No.012

四季を味わう山の中の定食屋さん

妹尾真治さん
プロフィール

北杜市大泉町
妹尾せお真治さん(35)
理栄さん 水月みづきちゃん
神奈川県伊勢原市より移住

春は山菜、夏は川魚、秋はキノコ。妹尾さんご夫婦が営む
定食屋「自然屋」では、四季折々の八ヶ岳の味を頂くことができます。
隣り合わせの自然に癒され、自然の恵みを頂き、自然に感謝する毎日。
北杜市で暮らし、お店を始めるまでには、師匠「仙人」の導きがありました。

 もともと自然のある環境が大好きで、槍ヶ岳の山小屋や、高原野菜の農場で働いていたこともあるというご主人の真治さん。自然を自分なりに表現するためにお店をやりたいというぼんやりとしたビジョンを持ちながら、自分の進む道を探しあぐねていた頃、師匠「仙人」に出会いました。「仙人」とは、八ヶ岳にある「仙人小屋」の大将の大林さんのこと。山から採ってきた天然食材を調理し提供する、まさに真治さんのビジョンを形にしている方でした。「野辺山の農場で働いていた時に、たまたま『仙人小屋』のチラシを見かけて、すぐにお店に行きました」。初めて会った大林さんにその場で弟子入りを申し込んだという真治さん、翌年の春から3シーズン、「仙人小屋」で修業を積むことになりました。
 八ヶ岳に人出が増える4月から11月の間、大林さんの教えを請い、その修業も終わろうとする3シーズン目、もう一つの大きな出会いがありました。東京から「仙人小屋」にアルバイトに来た理栄さんとの出会いです。修業を終え、共に山を下りた二人は、やがて結婚、水月ちゃんが生まれ、神奈川県伊勢原市で暮らし始めました。
 大林さんから伝授された知識や技を活かしてお店を持ちたいという夢を持っていた真治さん、しかし家族ができ、自分の夢を追いかけてばかりもいられなくなってしまいました。日々の暮らしを維持するのに精いっぱいの毎日、真治さんは身も心もボロボロに疲れてしまっていたそうです。そんな真治さんに手を差し伸べてくれたのは、またしても大林さんでした。「どこかで踏ん切りをつけないと夢は実現しない。やる気があるなら俺の隣でやってみろ」。大林さんはそんな言葉で真治さんを力づけてくれました。

手作りのお店、手探りの切り盛り、
手に入れた家族との時間

 八ヶ岳の景色に馴染むたたずまいのお店の建物は、真治さんと大林さんが二人で手作りしました。そして、2009年5月、八ヶ岳の山の中の定食屋、「自然屋」としてオープン。移住を決意してからオープンまでは一直線に突き進んできたという妹尾さんご夫婦、実際にお客さんを迎える時になってドキドキあたふたしてしまったそうです。当時3歳の水月ちゃんは、お客さんが来ると困って話せなくなってしまうご両親を助けるためか、お店の鍵を中からかけてしまったというほほえましいエピソードも。
 師匠の「仙人小屋」のすぐ隣に店を構え、大林さんの存在にいつも助けられ、発奮させられていると真治さんは言います。「仙人には負けていられないぞ!なんて言いながらいつも追いかけているばかりなんですけど、本当に感謝してます。仙人にも、八ヶ岳の自然にも」。
 「自然屋」で提供している食材は、すべて真治さんが早朝に山へ入り採ってくる自然の恵み。種類も量も豊富な八ヶ岳の山菜やキノコ、八ヶ岳界隈の食材を自分で採ってきて料理するスタイルはこの場所ならではのもの。自分なりのメニューが増え、それを食べに山を登ってきてくれるお客さんも増え、自然を自分で表現したいという真治さんの夢は、だんだんと形になってきました。
 八ヶ岳へ移住し、夢を現実にしつつある真治さんが、もうひとつ得た大切なもの、それは「家族で過ごす時間」。理栄さんとは共にお店を切り盛りし、麓の小学校に通う水月ちゃんとは毎日一緒に食事をとることができます。「伊勢原にいた頃は一緒にご飯なんて食べたことなかったんです。自然が近くにあって、家族が近くにいて、この生活は本当に快適です」。親子3人の和やかな笑い声が聞こえる「自然屋」、これからも心豊かに暮らせるようにと、家族で足並みをそろえて歩んでいきます。

(2013年7月取材)

師匠の「仙人小屋」は「自然屋」のすぐ隣。

師匠の「仙人小屋」は「自然屋」のすぐ隣。

 

メニューは自然の恵みをそのまま味わえるものばかり。「自然屋」ならではの料理に常連さんも増えてきています。

メニューは自然の恵みをそのまま味わえるものばかり。「自然屋」ならではの料理に常連さんも増えてきています。

 

アンズタケ、オニイグチ、チチタケ。全て真治さんが採った八ヶ岳のキノコです。「キノコは怖い食材だけど、だからこそ面白い」と真治さん。

アンズタケ、オニイグチ、チチタケ。全て真治さんが採った八ヶ岳のキノコです。「キノコは怖い食材だけど、だからこそ面白い」と真治さん。

 

「山の恵みはひとつも無駄にしたくない」と、食材を大切に調理します。

「山の恵みはひとつも無駄にしたくない」と、食材を大切に調理します。

 

お店は建物も内装も全て手作り。手入れの行き届いた店内は、ついつい長居したくなる居心地の良さ。

お店は建物も内装も全て手作り。手入れの行き届いた店内は、ついつい長居したくなる居心地の良さ。

 

理栄さん考案の、タンスの引き出しを再利用した食器棚。店内にはそこかしこにご夫婦の工夫が見られます。

理栄さん考案の、タンスの引き出しを再利用した食器棚。店内にはそこかしこにご夫婦の工夫が見られます。