峡東 果樹王国エリア

JoyFuL No.050

地元や世界に愛されるワインを目指して

鈴木 剛さん
プロフィール

山梨市北
鈴木 剛さん(41) 順子さん(43)
剛さん:静岡県藤枝市より移住
順子さん:東京都江東区より移住

山梨市で40年に渡って親しまれていた旭洋酒。しかし、ぶどう農家の減少に伴い、
ワイナリーも売りに出されていました。鈴木さんご夫婦はワイナリーを引き継ぎ、
夢だった自分たちのワイン造りをされています。

 剛さんは山梨大学への入学を機に山梨へ移住。山梨のワインを飲む機会も増え、その美味しさに魅せられ、大学では発酵化学について研究。卒業後に甲州市にある中央葡萄酒に就職し、ワインの醸造をされていました。
 順子さんも移住前からワインが好きだったと言います。「醸造の勉強やぶどうの栽培経験はありませんでしたが、栽培スタッフとしてなら中央葡萄酒に就職可能だったので、山梨へ移住し入社しました」。そして、同じワイナリーで働いていた剛さんと順子さんは出会い、職場結婚されました。
 その後、「いつかは自分たちのワインを造りたい。」と夢見ていた鈴木さんご夫婦。山梨市で40年に渡って地域の方々に親しまれていた旭洋酒有限会社を継ぐことになります。「旭洋酒はぶどう農家が出資して共同醸造所として営まれていました。自分の畑で栽培したぶどうを持ち込んで醸造するスタイル、醸造用を中心としてぶどうを栽培していくという農家の組合だったんですが、農家の減少によって組合は解散し、このワイナリーも売りに出されていました。」と教えてくださった剛さんと順子さん。その時に縁あって、是非ワイナリーを継いでほしいという声がかかり、旭洋酒有限会社を引き継ぎ、夢だった夫婦のワイン造りがスタートしました。

シンプルだけど多様性を見出せるワイン造り

 「ワインって作りの一番シンプルなお酒です。ぶどうを潰して果汁の個々の力でワインが出来上がります。しかも保存がきかない原料なので、ぶどうが採れたその場でしか造れないお酒なんです。だからワインを造る技術よりも、いかに良いぶどうができるかが重要なんです。」と語る剛さん。ぶどうの品質によってワインの出来が左右されるので、ワイナリーの規模の大きさは関係なく、良いぶどうができれば、小さなワイナリーでも世界レベルのワインが出来上がる。このことは鈴木さんご夫婦の仕事のやりがいにも繋がっています。
 「旭洋酒でのワイン造りを始めてからは、ぶどうの栽培から、醸造、販売まで考えてやらなければいけないので、中央葡萄酒にいた時よりは、クリエイティブというか創造性のある仕事がありますよね。責任は重いですが、それは楽しい仕事ですね。」と順子さんは言います。
 鈴木さんご夫婦は、作り手の思いや気候風土をワインの味で表現することにこだわっています。「ぶどうの品種が同じでも、作る場所が山梨と長野では違う味になります。また、同じ山梨で同じ品種でも、作り手によって味は変わります。それを楽しむのがワインですね。」と順子さん。「他のお酒では表現できない多様性を見出せるワイン造りの中で、楽しみを感じながら、お客様には自分達の思いや山梨の気候風土が折りなす味を感じて飲んでもらいたい。」とお話しいただきました。

ワインを通して山梨を盛り上げる

 鈴木さんご夫婦の様々な思いが詰まったワイン。平成20年には北海道洞爺湖サミットの夫人夕食会でふるまわれ、国際的な専門誌で評価されるまでになりました。しかし、地元の方々にも変わらずに親しまれています。「この周りでは昔から一升瓶ワインがよく飲まれていて、農家の方が変わらずに買いに来てくれます。そういう方から『今年のはうまいね。』って言っていただけるのはこの上ない喜びですね。」と笑みを浮かべて、剛さんは話します。
 「自分たちはワインが好きだから山梨にいる」と言う鈴木さんご夫婦。他のワイナリーの方々と一緒になって、ぶどうを作るところから、ワインを売るところまでのすべてを楽しんでいきたいと考えると同時に、これからも山梨でワイン造りをしながら、歳を重ねたいと仰っていました。

(2013年7月取材)

昭和30年代に有限会社になった旭洋酒。建物の趣きに歴史の長さを感じられます。

昭和30年代に有限会社になった旭洋酒。建物の趣きに歴史の長さを感じられます。

 

『ソレイユ』とは仏語で太陽。暖かさで心をほどくワインという思いが込められています。

『ソレイユ』とは仏語で太陽。暖かさで心をほどくワインという思いが込められています。

 

醸造担当の剛さん。瓶詰めも一本一本手作業でされるそうです。

醸造担当の剛さん。瓶詰めも一本一本手作業でされるそうです。

 

昔はコンクリートのタンクでワインを醸造されていたそうです。

昔はコンクリートのタンクでワインを醸造されていたそうです。

 

山梨で昔から栽培されるぶどう『甲州』を使ったワイン。ワイン雑誌の表紙も飾った銘柄です。

山梨で昔から栽培されるぶどう『甲州』を使ったワイン。ワイン雑誌の表紙も飾った銘柄です。

 

ぶどう畑にも連れてきてもらいました。天気が良いと山の向こうに富士山が見えるそうです。

ぶどう畑にも連れてきてもらいました。天気が良いと山の向こうに富士山が見えるそうです。

 

フランスを原産国とするぶどう『シラー』。成長の様子を丁寧に確認する栽培担当の順子さん。

フランスを原産国とするぶどう『シラー』。成長の様子を丁寧に確認する栽培担当の順子さん。