峡東 果樹王国エリア

JoyFuL No.051

築270年以上の古民家を自力で改装し、
オーガニックCafeをOPEN!

吉田和江さん
プロフィール

甲州市大和町
吉田信裕さん(55) 和江さん(60)
東京都日野市より移住

甲州市大和地区で、本格カレーが味わえると人気の『大黒屋・サンガムCafe』。
吉田信裕さん、和江さんご夫婦が、2011年5月にオープンしたオーガニック
カレーのお店です。安心安全な野菜が安価で手に入る山梨。
アクセスも抜群に良いことから移住を決意しました。

 こちらへ来る前は、都内でお店を営んでいたというお二人。移住を考えるきっかけは、売上が伸び悩むようになったことだったそうで、「当初は、ネパール人の腕の良いコックさんに働いてもらっていましたから、人件費もバカになりません。かといって、コストを下げるために冷凍の食材を使うなんてこともしたくなかった。あくまでも身体に良い、おいしい物を提供したいと思っていましたから、そこで妥協するのは嫌だったんですね。そんなわけで、だんだんと経営状態が悪くなってしまいましてね。それで、何とか売り上げを上げたいと、宅配をしたり、屋台風に改造した車でイベントやフリーマーケットに参加したりするようになったんです」。東京はもちろん、神奈川、埼玉、茨城などいろいろな所へ出掛けたとご主人。「山梨にもよく来ましたよ。特に勝沼の朝市には、毎月参加していました。こちらは、都内からのアクセスがよく、当時私どもが住んでいた場所からも1時間程度で来られますから、とても都合が良かったんですよね。」と笑顔を見せれば、奥様も、「たった1時間ほどなのに、びっくりするような山の中に来る。この変化も楽しくて、毎回来るのが楽しみでした。もちろん、こちらに来ると新鮮なオーガニック野菜が安価で手に入ることも、誰にでも安心して食べてもらえる美味しいカレーを出来るだけ安く提供したいと願う私どもにとってはこの上ない魅力でしたね。それで、思い切ってこちらに移ることにしたんです。」とにこやかに振り返ります。

由緒ある築270年の古民家を
借り受けることに成功!

 移るとは言っても、本格カレーのお店を開くのが前提だから、どこでもいいというわけにはいきません。まずは、お客さんに来てもらうことを考えるとやはり市街地だろうということで、甲府や韮崎などの駅前や商店街などにあるごく普通の店舗物件を見て回っていたそうですが、「何かしっくりとこなかったんですよ」。そんな時偶然訪れたのが、北杜市にある『おいしい学校』。「古い建物を上手に利用して、とてもいい雰囲気のお店にされていますよね。ああ、こういうの、いいなって思って。それで、古民家を意識するようになりました」。とはいえ、古民家の物件情報など簡単には手に入らない。どうやって探していいかもよくわからない。そこで和江さんが試みたのが、インターネットでの物件探し。「ポータルサイトで、『山梨』『古民家』『草取り』という3つのキーワードで検索を掛けたところ、この家の大家さんのブログが見つかったんですよ。なぜ『草取り』だったのかと言えば、私自身が、もし、都会に暮らしていて、田舎に先祖代々受け継いできた古い家を持っていたとしたら、きっと草ぼうぼうになっているんじゃないかと思いましてね」。案の定、ブログには故郷に保有する古民家の草取りの苦労が語られていたと笑う和江さん。記載されていたアドレスにメールを送ったところ、すぐに返信があり、そこから話がとんとん拍子に進んで、借り受けることが出来るようになったといいます。
 「ここは旧甲州街道の駒飼宿。こちらのお宅は、大黒屋の屋号で、旅籠を営んでいらしたそうです。もっとももう随分前から持ち主の方は東京や名古屋で暮らしていらして空家でしたから、最初は大変でしたよ。資金的な問題もあって専門業者に再生を依頼することが出来なかったので、私は東京の国立市でお店を続けながら、夫がこちらに通って掃除をしたり、修理をしたりしてくれたのですが、開店にこぎつけるまでに、1年かかりました」。

いろんな国からいろんな人がやってきて、
いろんな文化が混じり合う場所に

 2011年5月1日にオープンして約2年。この間、お店の切り盛りは和江さんが担い、信裕さんは、東京で別の仕事を続けながら、週末になるとこちらに帰るという暮らしを続けてきました。「ここは車でも電車でもほんの1時間程度。アクセスが良いので、行ったり来たりの生活でも不都合はありません。大変というより、むしろ楽しみですね。」と信裕さん。
 歴史ある山間の集落だけに、当初は都会からの移住者に眉をひそめる人もいたといいますが、「気にせずこちらから笑顔で挨拶をし、自治会の活動にも積極的に参加していたところ、だんだんと地域の一員として認めてもらえるようになったみたいで、最近はお店に来てくれる人も増えていますし、ありがたいことに、お祭りとか、道の駅とか、いろんな場所への出店を誘われるようにもなってきました。」と、嬉しそうに話します。
 さらに、もともとは旅籠をしていた広いスペースを活かし、WWOOF(ウーフ)のホストも始めたというお二人。WWOOFとは、食事や宿泊場所を提供するホストと、「力」を提供するウーファーから成る1971年にイギリスで生まれたシステムで、“サンガム”にも、日本国内はもとより、世界各国からさまざまな年代のウーファーがやってきて、寝泊まりする代わりに料理や雑用などさまざまなお手伝いをしてくれるのだと言います。
 「いろんな人が来てくれて、なかには日本語も判らないような外国の方もたくさんやってきます。そうした人達と、一緒にご飯を食べて、ディスカッションして…。ときには彼らが自分の国のお料理を作ってくれることもあり、とても楽しいですね」。
 店名の“サンガム”は、川と川の合流点を表すヒンズー語。日本の真ん中のこの場所で、日本とネパールやインドの文化が混じり合ったお料理を食べていただき、新しいおいしさを発見してもらえるよう、これからもがんばっていきたいと意気込んでいらっしゃいました。

(2013年3月取材)

江戸時代の雰囲気が残る「大黒屋サンガムcafe」。

 

古民家のレトロな雰囲気が漂う店内。

 

ゆったりとくつろげる空間。

手作りナンと自慢のオーガニックカレー。

手作りナンと自慢のオーガニックカレー。

 

信裕さんがナン1枚1枚を丁寧に焼き上げます。

信裕さんがナン1枚1枚を丁寧に焼き上げます。

 

移住のエピソードを話してくれた和江さん。

移住のエピソードを話してくれた和江さん。