峡東 果樹王国エリア

JoyFuL No.053

農産物を表現の手段に

川部源太さん
プロフィール

笛吹市芦川町
川部源太さん(28)
恵子さん(32) 穂太くん(2)
神奈川県川崎市より移住

普段、私たちが何気なく食べているものがどういう人たちがどのように作って、
食卓に並んでいるか考えている人は少ないと思います。川部さんは
笛吹市芦川の地で、芦川のことや食べ物の大切さを伝えるために移住し、
農業を始められました。

 「大学の時にモンゴルへ旅行に行って、現地の子ども達がヤギの乳を搾ったり、牛を飼っているのを見ました。まだ子どもなのに自分の力で食べ物を得ているのを見て、自分は何もできないんだなと考えさせられました」。自分たちが食べる物を自らの手で作っている方は多くないと思いますが、川部さんはこのモンゴルでの体験等がきっかけで農業の道を志すことを決心されました。
 大学では国文学を専攻していましたが、教授の紹介を受けて、卒業後に山梨に移住。最初の1年は甲府で農業の修行を積み、その後知り合いの紹介で笛吹市芦川町に移住されたそうです。翌年には、大学時代よりお付き合いしていた恵子さんも移住されて結婚。現在では長男の穂太くんも生まれて、家族3人で田舎暮らしを満喫されています。恵子さんからは「芦川は山奥と聞いていたので、寂しいイメージを持っていましたが、優しくて、元気な人が多く、寂しさは全く感じませんでした。地域への愛情が薄く、隣に住んでる人がどういう人なのか分からない都会暮らしを当たり前に思っていたので、逆に新鮮に感じました。私も佐賀県の田舎出身ですが、佐賀の山奥の印象と重なります。」と教えて頂きました。

芦川から食べ物の大切さの発信

 芦川へ移住してから『げんたのやさい』と謳って、無農薬野菜の直送販売をされている川部さん。栽培した農産物を通して、ただお腹を満たすだけではない、食べることの大切さを知ってほしいと考えています。
 このような思いを抱くようになったのは、西日本新聞の『食卓の向こう側』という連載を読んだのが一つのきっかけでした。「自分たちが何気なく食べているものに様々な問題が隠されていて、それが私たちには全然見えない世界のものなんだと感じました」。現代社会において、時間に追われる暮らしの中でも、コンビニ弁当やファストフードなどの食べ物で手軽にお腹を満たすことはできます。しかし、それにより人間の体や暮らしにも悪影響を及ぼしているのも事実です。川部さんは芦川で作った野菜を食べてもらうことで、もっと食を大事にしてもらいたいと言います。
 「親が知らなければ、子どもにも伝わらない。それはとても危ないことだと思います。これからの子どもたちのためにも、食べ物の現場を伝えることで、食について少しでも考えてもらえれば幸いです」。週末には東京で野菜の直売をされています。今年で3年目になり、徐々に反響が広がっているそうです。

芦川の自然、人の強さや優しさに惹かれて

 移住した当初は芦川に定住するつもりはなかったと言う川部さん。しかし、今では離れられなくなってしまったと言われています。「初めは自然に惹かれて、ここに住みましたが、芦川の人の強さや優しさが魅力的で、ずっと住みたいと思うようになりました」。
 芦川での子育ての魅力についても「ここでは日常的に自然に触れられて、感性を育てる意味で良いと思います。あと自然は良い面だけではなく、怖い面もあります。都会の人工的に作られた自然は良い面しかなくて、怖い部分は大人たちが守ってしまい、子どもたちは危険な部分に触れられません。私たちが心がけていることは、子どもに危険な部分にも触れさせて、自然とどう付き合うかの判断力を養ってほしいと考えています」と言います。川部さんは都会で育ったこともあり、反動で穂太くんに危ないことをさせたりするそうです。「そのおかげもありまして、年の割に足腰がしっかりしてます(笑)」。
 芦川の魅力をいっぱい語ってくれた川部さん。高齢化が進んでいる地域ですが、自分たちが地に足をつけて暮らしていけるひとつのケースになることによって、芦川が活気づけばと考えられています。

(2013年5月取材)

一つ一つ丹念に野菜の状態をチェック。

一つ一つ丹念に野菜の状態をチェック。

 

麦の種をまいて、日射し避けや畑の栄養にされます。穂太くんもお手伝い。

麦の種をまいて、日射し避けや畑の栄養にされます。穂太くんもお手伝い。

 

木の枝を周りに差すことによって、鳥からカボチャの芽を守ります。

木の枝を周りに差すことによって、鳥からカボチャの芽を守ります。

 

子育ての面では、できるだけ見守ることを心がける川部さん。自然の中での判断力を養ってほしいと願っています。

子育ての面では、できるだけ見守ることを心がける川部さん。自然の中での判断力を養ってほしいと願っています。

 

まだ2歳の穂太くん。芦川ですくすくと育っています。

まだ2歳の穂太くん。芦川ですくすくと育っています。

 

芦川は優しい人が多く、道ばたでも話が弾みます。

芦川は優しい人が多く、道ばたでも話が弾みます。