南アルプス 富士川エリア

JoyFuL No.062

住むなら大都市か田舎、選んだのは南部町

小山泰之さん
プロフィール

南部町福士
小山泰之さん(33)
三穂子さん(30)
宮城県南三陸町より移住

宮城県出身の小山さんが関東圏に拠点を移す時に考えた候補地は東京か山梨。
そして選ばれたのが、山梨県南部町。この田舎の地で理想のライフスタイルを
追求しながら、作品作りに取り組んでいます。

 アルミを電解し漆で仕上げる『アルマイト染色漆仕上げ』という独自の技法で美術工芸品やジュエリー等を製作し、活躍する小山さん。大学卒業後、しばらくは出身の宮城県南三陸町に工房を構えて活動していましたが、活動を関東圏に移す際に移住の地に選んだのは大都市・東京ではなく、山梨県南部町。静岡で個展を行った際に訪れたお店を通じて、南部町へ移住した方を紹介いただき、その方の家を訪ねたそうです。「古い小さな家を自分で改装し、センス良く生活しているのを見て、こんな生活が出来たらなという想いで南部町に移住しようと思いました」。その移住者の方から古民家を紹介いただき、2年間は時々行き来しながら、2007年に三穂子さんとの結婚を機に完全移住されました。
 「山梨は『良い雰囲気な田舎』のイメージがあり、住んでみたいと考えていました。都市部へ移住したい気持ちもありましたが、時間や金銭的なことに追われる生活はしたくなかったですね。例えば都会暮らしだと、休日に田舎にわざわざ来て、畑をするのは難しいと思いますが、山梨に住んでいれば、普段から畑などの田舎でしかできないことができて、休日は都市部へ買い物に行ける。田舎と都会の楽しさを両方味わえますよ。」と教えてくださいました。
 移住されてからは近所の使わなくなった金型工場を工房に利用して、作品づくりに取り組みながら、畑や田んぼの作業もしています。自治会や集落の行事にも積極的に参加されているので、ご近所の方々とも仲良く交流できているそうです。

南部町で実践する
クリエイティブなライフスタイル

 小山さんのお宅を拝見して、驚かされたことは古民家の改装スタイルの違いでした。「僕は昔から『ひねくれ者』なので、他の人と違うことをやりたいと思ってしまいます。古民家を改装する場合も多くの人は木の素材を活かした改装をされますが、僕はミニマルでスッキリした感じに改装しました。合わせる家具等も金属製のものを取り入れたり、少しずつ自分たちで改装してきて、7年経ってもまだ改装は進行中ですがゆっくり楽しんでやっています」。
 大学時代においても、伝統に基いた教育方針の中で、銀や銅、真鍮等の伝統工芸の世界で一般的な工芸素材を使っている人が大半のところ、小山さんはあえて工業素材であるアルミを使った工芸作品を作り、大学卒業後も厳しい美術業界で活躍されています。その『ひねくれた性格』に小山さんのセンスを感じられました。
 他に『部屋の広さ』も田舎に住んでいる醍醐味だと言います。「僕らは家具やプロダクト、美術品など、モノが好きで少しずつ収集しています。それらを飾って楽しんだり、広い空間は自分たちを心地良くしてくれて、とても魅力的ですね。都市部でこの家より広い部屋に住むのはまず難しいですからね。」と田舎に住む魅力を語っていただきました。
 「僕たち若い世代は田舎を良く思わない人も多いです。南部町の若い人も仕事のある静岡方面へ引っ越してしまいますが、通勤できる距離なのにわざわざ月数万円出して静岡のアパートやマンションに出てしまうのはもったいなく感じます。この南部町で理想的なライフスタイルを実践して、少しでも他の人に影響を与えられたらと思います」。来年には自宅スペースを利用して、カフェ兼ギャラリーをオープンする予定とのことです。どんなステキなお店ができるのか、今から楽しみになる小山さんのお話でした。

(2013年5月取材)

あえて工業素材のアルミを使って製作した工芸作品。

あえて工業素材のアルミを使って製作した工芸作品。

 

モダンでスタイリッシュな雰囲気に改装された古民家。

モダンでスタイリッシュな雰囲気に改装された古民家。

来年には自宅スペースを使って、カフェ兼ギャラリーをオープン予定です。

来年には自宅スペースを使って、カフェ兼ギャラリーをオープン予定です。

 

使わなくなった金型工場を工房に利用しています。

使わなくなった金型工場を工房に利用しています。

 

洗練されたジュエリー作品ですが、素材はなんとアルミホイルだけ。

洗練されたジュエリー作品ですが、素材はなんとアルミホイルだけ。

 

流行にとらわれることなく『不変』を日々模索しています。

流行にとらわれることなく『不変』を日々模索しています。