南アルプス 富士川エリア

JoyFuL No.064

「みんなで作るゲストハウス」で
地域・人・自然とつながる

山口宗一郎さん
プロフィール

富士川町高下
山口宗一郎さん(31)
博子さん(34)
千葉県市川市より移住

富士川町高下、色とりどりのあじさいに縁どられた坂道を上った先に、「ワールドカフェゲストハウス」はあります。

 ともに都会で生まれ育った山口さんご夫婦、山梨に来る前から、お二人とも「山の近くに住みたい」というビジョンを持っていました。はじめは下見のつもりで物件を見に来ていましたが、地元の人々と知り合い、関係を築く中で「この人たちとこの町に住みたい!」と思ったそうです。
 「ここはいい意味でプライベートがないというか、とてもオープンですね」。2013年に高下地区26年ぶりの移住者となった山口さんご夫婦は地域の方にとても歓迎されたといいます。「何かあったら相談しなさい!と言ってくださったり、スモモを届けていただくこともあるし、庭の草もいつの間にか刈ってくれてあったり。山梨は閉鎖的だなんて思う方もいるかもしれませんが、人とのかかわりで嫌な思いをしたことは一度もないです」。
 人とのつながりの面で非常に恵まれた環境にいると感謝していますが、心配していることもあります。「やっぱり子供が少なくて、この地域では僕が最年少なんですよ。」とご主人の宗一郎さん。近くの小学校では廃校の動きもあり、なんとか残したいという運動もあるものの、かなり切実な状況だそうです。「ここで同じ世代の人たちが移住してきてくれるようなきっかけを提供できたら、それで初めて自分たちが入ってきた意味があるというか、この地域に貢献できると思うんです」。

土間もかまどもみんなで作る!
ここで提供しているのは宿泊ではなく「暮らし」

 山口さんご夫婦は築150年の古民家を改装したゲストハウスを運営されています。コンセプトは「みんなで作るゲストハウス」、単にお客さんに宿泊を提供するという形ではなく、旅行者に実際の暮らしを提供し、古民家の改修も一緒に取り組んでもらいます。「4月にここに移ってきたばかりなので、まだまだ改修中です。この土間とかまどもワークショップを開催して、お客さんと一緒にみんなで必死にやって出来上がりました。」他にも、薪風呂体験や、苔玉作りなど、地域の人と旅行者が一緒に体験できるようなイベントを考えています。「地域の人たちと一緒に町おこしをしたいんです。ここにお客さんが来て地元の人と対話ができたり、子供の声が聞こえたりする交流の場を作っていきたいですね」。
 「world cafe」とは創造的な対話の手法のことだそうです。人と人が体験を共有し、言葉を交わし、心をつなげ、未来を創っていく。それが、お二人が目指しているゲストハウスの形です。

「全然スローライフじゃない」
手間をかける暮らしの魅力

 「便利であること、早くあることがいいのかどうか」という問題意識を以前からもっていたというご主人。富士川町に来て、ガスなどのエネルギーをなるべく使わない生活を実践しています。電気は通っていますが、ガスの契約はせずに、薪でお風呂を沸かし、ロケットストーブやかまどを使って炊事をします。
「火をおこして命をつなぐ生活。自然と共に生きるということは思うようにいかないし、時間もすごくかかるけれど、自然とつながっている感覚が心地いいですよ」。
 ゲストハウスに隣接した菜園では、夏の野菜が太陽を浴びてぐんぐん育っていました。その野菜の手入れをしながらご夫婦は話します。「よく、田舎でスローライフなんて言われますけど、ここでの生活はやることがたくさんあって、全然スローライフじゃないんです。でも、これが自分の求めていた暮らしだっていう満足感があります」。
 時間に追われる生活ではなく、地域・人・自然とつながる、自らの手で作る生活。「ワールドカフェゲストハウス」はそんな生活を体験したい人を待っています。

(2013年7月取材)

「町おこしに一役買いたい」と笑顔で話す山口さんご夫婦。

「町おこしに一役買いたい」と笑顔で話す山口さんご夫婦。

 

外からの光と風が通り抜ける居心地いい客間。

外からの光と風が通り抜ける居心地いい客間。

 

手作りのかまどで炊くごはんは格別です。

手作りのかまどで炊くごはんは格別です。

 

手作りゆえの味がある土間。

手作りゆえの味がある土間。

 

ゲストハウスの命名には「対話が生まれる場でありたい」というお二人の想いが込められています。

ゲストハウスの命名には「対話が生まれる場でありたい」というお二人の想いが込められています。

 

夏野菜はこの菜園と別の自分の畑で採れたものですべてまかなえるそうです。

夏野菜はこの菜園と別の自分の畑で採れたものですべてまかなえるそうです。