南アルプス 富士川エリア

JoyFuL No.069

何よりも家族が幸せであるように

足立洋史さん
プロフィール

早川町大原野
足立洋史さん(44) 雅子さん(43)
お子様3人
愛知県名古屋市より移住

日本で最も人口の少ない町、早川町。
その町に足立さんご一家がやってきたのは11年前。
その年の4月、娘さんがたったひとりの1年生として
町内の小学校に入学しました。

 東京都八王子市、都内にありながら西部には自然が多く残る地で足立さんは幼少時代を過ごしました。山や川を駆け回り、虫を捕って遊ぶ、そんな幼少の頃の記憶が足立さんのそれからの人生に大きく影響したと言います。
 就職してから、仕事の関係で名古屋へ転居し、その後結婚、3人の子どもにも恵まれました。ご自身と同じように子どもたちにも自然の中で育ってほしいと思っていた足立さんは、名古屋に暮らしながらも転機を探す日々でした。長女の小学校入学が迫った頃、通う予定の学校が自然とはかけ離れた環境にあり、「もっと自然が感じられる学校に通わせたい。」と思ったそうです。また子供たちにアトピーやアレルギーがあり、空気の清浄な土地に移りたいと思っていたことにも背中を押され、移住を決断しました。
 山で暮らせるところはないかと、移住先を探していた時、早川町の『山村留学』制度を知りました。家族で移住できる制度だったことが決め手となり、早川町を移住先に決めたそうです。
 早川町には子どもが少なく、その年は小学校の入学式実施が危ぶまれるほどでした。足立さんご一家の転入によって、入学式はつつがなく行われ、地域の方は早川町にやってきた3人の子どもたちを歓迎してくださったそうです。

子どもは子どもらしく育ってほしい

 優しさと厳しさを併せ持った早川町の自然の中に暮らし始めてから、子どもたちのアトピーやアレルギーはかなり改善し、皆のびのびと育っています。「都会の集合住宅に暮らしていたら、子どもが走り回ったりすると叱らなくちゃならないじゃないですか。でも、ここならいけないことをした時だけ叱ればいい。子どもを子どもらしく育てられるのがいいところですね」。
 娘さんは「朝起きて、窓を開けたら季節の匂いを感じます。夏は草の匂いが気持ちいいです。」と話してくださいました。ご両親の想いは子どもたちへしっかりと伝わっているようです。
 早川町に居を移して11年、子どもたちはそれぞれに成長し、通学の送り迎えなど新たな問題も出てきました。「これからも何があるか分からないけど、柔軟に対応して行きます。」今までも緩やかにしなやかに暮らしてきた経験が足立さんご夫婦を支えてくれています。

忙しくもストレスのない生活を

 身延町内の企業に勤める傍ら、木版画や革細工などの創作活動を行っている足立さん。20年以上独学で木版画を作り続け、4年ほど前からは企画展を開き作品を発表しています。音を出して作業をすることが多いので、近所への迷惑にならないこの環境は創作にうってつけだそうです。
 仕事や子どもの通学の送り迎えを終えた深夜のわずかな時間を創作活動に充てています。しなければならないことがたくさんあって大変だけれど、環境の良いところで子供を育てて、創作活動をして、仕事をして、そのほうがストレスにならなくていいと足立さんは話します。
 「僕が今やっていることで、子どもたちが自分の進む道の方向を見つけて、自分で歩めるようになればいい。僕の人生の目標はそこですね。自分の家族が幸せであるようにということを考えていれば、何があっても大丈夫。」と力強くお話しくださいました。何年か後、子どもたちが成長し、自分の足で歩み始めた時、ご両親の優しい導きに気づく日が来ることでしょう。

(2013年7月取材)

「八王子の自然はここまですごくなかった。」と笑うご主人の洋史さん。

「八王子の自然はここまですごくなかった。」と笑うご主人の洋史さん。

 

自然に囲まれたお住まい。子どもたちはのびのび育ち、足立さんも創作に専念できる環境です。

自然に囲まれたお住まい。子どもたちはのびのび育ち、足立さんも創作に専念できる環境です。

 

富士山を象った革細工。世界遺産登録を記念して創作しました。

富士山を象った革細工。世界遺産登録を記念して創作しました。

 

木版画作品『呪の海(しゅのうみ)』。頭の中にあるイメージを膨らませて創作しています。

木版画作品『呪の海(しゅのうみ)』。頭の中にあるイメージを膨らませて創作しています。

 

森の妖精をイメージした『山ぼっこちゃん』。早川で集めた流木から削り出します。

森の妖精をイメージした『山ぼっこちゃん』。早川で集めた流木から削り出します。

 

「遠くから見に来てくれるお客さんに胸を張れる作品を」。

「遠くから見に来てくれるお客さんに胸を張れる作品を」。