
道志川の流れる村で見つけた人の繋がり


道志村大栗
千田圭輔さん(38) 則子さん(30)
神奈川県厚木市より移住

千田圭輔さんが道志村と出会ったのは10年前。当時は、横浜市のNPO法人で、横浜市と道志村の子どもたちを主な対象に体験学習や地域間の交流を促進する仕事をしていました。何度か道志村を訪れた事で縁が生まれ、6年前に道志村に移住し道志村観光協会で働き始めました。
移住した最初の頃は、地域の人たちと挨拶を交わす程度でしたが、消防団に入り、地域の行事に積極的に参加していくうちに、顔を覚えてもらうようになり、次第に周りの人たちのとの距離が縮まったと言います。「よく野菜をいただいたり、困ったことがあると助言してくれます。」と話す圭輔さん。
しばらくして、観光協会が運営するキャンプ場で働いていた則子さんと知り合い、2年前に結婚し、今年から自宅の庭で畑を始め、自然の中での生活を楽しんでいます。慣れない事もあり思うようにいかない時もありますが、地域の人たちが親切にアドバイスをしてくれるお陰で、小さいながらも野菜たちは育ち、収穫の時を待っています。
人口の少ない村だからこそ
育むことのできる思いやり
お子様が生まれる予定の千田さんご夫婦は、子育てについて「村には小学校、中学校がそれぞれ1校しかありませんが、その分友達同士の繋がりが濃いと聞きます。小中学校9年間を同じメンバーで過ごして、大人になっても皆で集まるそうです。私たちの子供の頃は、話したことのない同級生もたくさんいましたので、羨ましく思えます。」と、人との繋がりを大事にした環境での子育てを、楽しみにしているそうです。
圭輔さんは「地元の友人たちも、よく道志村に遊びに来ますが、こういった豊かな自然に囲まれ、人との繋がりが強い環境で子育てしたいと、みんな口をそろえて言ってくれます。」と笑顔で話します。
道志村でのお仕事もとても充実しているという圭輔さん。横浜で働いていた頃と同様に、子どもたちへ向けた農林業の体験学習や地域間交流を企画し、地域振興のために奮闘する日々です。村内の企業や団体と協力して事業を進める中で、地域の方々とのいい関係も築けているようです。
2013年6月にユネスコ世界遺産委員会において富士山が世界遺産に登録され、その姿を一目見ようと訪れる観光客も増えてきました。圭輔さんは「道志村を素通りして富士山方面に行ってしまう人も多いのですが、この地域にも魅力がたくさんあります。緑と清流に恵まれているのはもちろん、人の繋がりが濃く、夏は涼しく過ごせる気候。都心へのアクセスが良く、道志村から東京や神奈川に通勤している人もいるほどです。自然の魅力を存分に活かして、ますます道志村を盛り上げていきたいと思います。」と話します。その表情からは、道志村への深い思いが伝わってきます。
道志村では、6月中旬〜8月上旬にかけて、ゲンジボタルやヘイケボタルを見る事ができ、毎年多くの人々が観賞に訪れます。近く、新たな家族が増える千田さんご夫婦。来年の夏は、森の中に浮かぶホタルを、笑顔で観賞する3人の姿がある事でしょう。
(2013年7月取材)